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漢方療法

乳癌に対して漢方薬でアプローチする方法について、処方の内容や注意点、治療費用などの情報をまとめて解説しましょう。

漢方を利用した癌の治療法とは

漢方治療は東洋医学の考え方に基づいて、血流や気の流れ、水の流れなどを改善する生薬をブレンドして処方し、全身治療を行う治療法。最近では総合病院でも漢方外来を設けているところが増えていますし、西洋医学の治療と並行して漢方薬が用いられています。癌治療においても、標準治療と並行して行う代替療法として一般的に普及していますね。

漢方療法は、癌を局所的に治療する西洋医学的な外科治療の対極にある治療法です。切除手術や放射線治療、抗がん剤による化学療法などで弱った体全体を生薬の力でいたわり、総合的に体力や抵抗力、免疫力を高めることを目標としています。不快な副作用や痛み、ツラい症状を緩和する効果も期待できます。

基本的には、癌の種類別に処方が異なるわけではなく、患者さんの体質や病状によって、薬の配合を調整します。冷えやすい方には体を温める生薬を、むくみが出ている人には利水作用のあるものを、といった具合に処方されます。

治療に使われる漢方薬の種類と費用について

乳癌の治療に実際に使われる漢方薬として代表的なものは、当帰芍薬散や桂枝茯苓丸など。

当帰芍薬散は、当帰(とうき)と芍薬(しゃくやく)、蒼朮(そうじゅつ)や茯苓(ぶくりょう)など6種類の生薬を組み合わせたもので、利水作用と補血作用のある薬。貧血やむくみの症状があり、体力が低下している人に適しているそうです。

桂枝茯苓丸は、桂皮や桃仁、牡丹皮など5つの生薬を組み合わせていて、血液循環を促進したり、化学療法によってダメージを受けた細胞の修復を促進する効果もあるそうです。

上記の2種類の薬の場合は、化学療法やホルモン療法などの標準治療の補完として処方され、健康保険が適用されます。

当帰芍薬散

当帰(とうき)と芍薬(しゃくやく)、蒼朮(そうじゅつ)や茯苓(ぶくりょう)など6種類の生薬を組み合わせて作られているのが、当帰芍薬散です。主な効果は、利尿作用と補血作用で、普段から貧血やむくみを感じやすく体力が低下している人に適している漢方薬といわれています。

その効果については、以下の通りです。

構成生薬の薬能からみると1),当帰・芍薬・川弓は,駆お血剤で,陰虚証のお血(J1)を散じ,貧血を補い,血行を改善し,冷え症に用いる.茯苓・蒼朮・沢瀉は,駆水剤で,水毒症状を除く.以上により当帰芍薬散は,陰証で虚証の傾向にあるお血症状と水毒症状とを目標に用いられる.

出典:JIM15巻3号(2005年3月)『EBM時代の生薬・方剤の使い方[15/最終回][方剤] 』

とのことです。

では、乳がんの治療にはどうして良いとされているのかというと、その理由は当帰芍薬散には血行の改善効果が期待できるからです。がんの治療は抵抗力や回復力を高めることが良いとされていますが、血行が促進されることによって自然と体の抵抗力や回復力が高まり、QOL(生活の質)の向上にもつながります。

桂枝茯苓丸

桂皮や桃仁、牡丹皮など5つの生薬を組み合わせている漢方薬が、桂枝茯苓丸です。血液循環を促したり、化学療法でダメージを受けてしまった細胞の修復を行う効果もあるといわれています。以下で、桂枝茯苓丸について紹介されています。

がんとがん治療に伴う様々な症状によってがん患者は元気がなくなっているが,漢方薬により患者は元気を取り戻す。がん治療を成功させるためには,患者の気力と体力の回復と維持が重要である。そのための漢方薬の適用法は,補剤(補中益気湯,十全大補湯,人参養栄湯など),補腎剤(牛車腎気丸など)および駆瘀血剤(桂枝茯苓丸,桃核承気湯,当帰芍薬散など)をそれぞれ選択し,正しく組み合わせた治療である。

出典:癌と化学療法Volume42,Issue13,2418-2422(2015)『がんの症状と用いる漢方薬』

とされています。桂枝茯苓丸も、がん治療に適した漢方薬の1つであることがわかりますね。

また、乳がんに対する結果ではないのですが、前立腺がんに対して桂枝茯苓丸が有用である、という結果についてもご紹介します。

前立腺癌に対してLH-RH agonistを投与した患者のうち,hot flushを認めた16名を対象とし,桂枝茯苓丸7.5gを投与した。問診にてhot flushの持続時間と1日に症状の出現する頻度を観察した。年齢は平均69.0歳,病期はstage Bが6例,stage Cが7例,stage D2が3例であった。内分泌療法は,LH-RH agonist単独が4例,酢酸クロルマジノン併用例が4例,非ステロイド性抗アンドロゲン剤併用例が8例であった。桂枝茯苓丸によると思われる副作用は認めなかった。全16例中11例(69%)に症状の改善を認めた。LH-RH agonistによるhot flushに対する桂枝茯苓丸の投与は有用であると思われた。

出典:臨床泌尿器科 60巻2号 (2006年2月)『LH-RH agonistによるhot flushに対する桂枝茯苓丸の有用性』

とのことです。桂枝茯苓丸はがんの治療に役立つ漢方薬と証明されています。

乳癌の漢方治療は植物エストロゲンに注意する

しかし、乳癌の場合は特別に注意しなければならない点がひとつあります。女性ホルモンのエストロゲンが、乳癌の増殖を刺激することがあるので、エストロゲンに似た作用を持つ生薬は避けなければならないのです。

例えば、一般的に良く知られている大豆イソフラボンは、エストロゲンと似た構成を持つのでフィトエストロゲン(植物エストロゲン)と呼ばれています。同じようにマメ科の生薬である葛根にもイソフラボンが含まれているそうです。ほかにも、高麗人参や甘草についても、エストロゲンに似た作用があるので はないか、と言われています。

それらの生薬を避けながら、乳癌の不快な症状や治療の副作用を抑える効果を持つ薬を処方するのが、乳癌の漢方治療の基本です。

漢方治療以外の方法も視野に入れよう

漢方治療以外の治療法の1つとして、免疫細胞治療があります。人間の体内には、異常細胞を排除し、体を守る仕組みが自然と備わっています。その仕組みを免疫と呼びます。その役割を担っているのが免疫細胞なのですが、触って敵と認識する細胞、敵の特徴を免疫細胞たちに知らせて攻撃する細胞、攻撃するための武器を作る細胞など…一言で免疫細胞といっても、1種類ではなく複数の種類の免疫細胞が存在しています。健康で生活している人でも、1日に数千個以上の異常細胞が発生しており、それらをすべてやっつけてくれているのが体内の免疫細胞たちです。しかし、すべてを免疫細胞が抑えきれるわけではなく、それでも悪さをして増殖してしまう異常細胞はあります。がん細胞も、異常細胞の1つです。

免疫細胞治療は、体内でがん細胞やウイルスなど悪さをしてしまう外敵と戦うために存在している免疫細胞を、一度患者さんの血液から取り出します。そして、人工的に免疫細胞の数を増やしたり、がんを攻撃するように覚えさせたうえで再び体内へ戻すという方法です。免疫細胞の数が増加するので、外敵をやっつけるパワーもアップし、がんをしっかりと攻撃してくれます。また、免疫細胞を増やして攻撃力を高めるだけなので、重い副作用もなくがん治療ができるでしょう。

3大治療と呼ばれている手術・化学療法・放射線治療との組み合わせも可能であるのと同時に、3大治療の効果を高めることもできる、と期待されています。

酵素の力に注目

酵素って何?

酵素は、人間のすべての動きをつかさどる、大事なものです。栄養を消化する、栄養を吸収する、不要なものを排泄する、これらもすべて酵素がやってくれています。

しかし、私たちが一生で使える酵素の量は決められています。潜在酵素と呼びますが、その酵素をどの場面でどのように使うか、がとても重要です。食生活が整っていないと、消化をするために多くの酵素が必要になってしまいますし、ストレスが多い人はストレスから体を守るために酵素が使われます。もちろん使った分の酵素は減ってしまうので、それだけ他のことに酵素が使えなくなるでしょう。

そして、酵素は使えば使うほどに減少していくので、どれだけ大切に使っていても年齢を重ねるにしたがって潜在酵素の量は減ってしまいます。酵素が減ると代謝や解毒の力が弱まってしまうため、免疫力の低下につながって様々な不調を招くと考えられています。乳がんのリスクが年々高まってしまうのも、酵素の減少によって免疫力が落ちてしまうことも大きな原因となっているのでは、といわれているのです。

どのように乳がんにアプローチできるのか

乳がんと酵素はどのような関係があるのか、酵素はどのようにアプローチしてくれるのかは、以下の通りです。

BRCA1はタンパク質のN末端にRINGフィンガーと呼ばれる構造をもっていて、もう一つのRINGフィンガータンパク質であるBARD1とともにRING二量体型のユビキチンリガーゼを形成します。ユビキチンリガーゼ活性を失うRINGモチーフのミスセンス変異が家族性乳がんを引き起こすことなどから、この活性が乳がんの発症抑制に重要な役割を果たしていると考えられています。

出典: 聖マリアンナ医科大学大学院:応用分子腫瘍学

とのことです。BRCA1が、ユビキチンリガーゼという酵素の1つです。このことから、酵素も乳がん発生の抑制に役立ってくれることがわかりますね。

酵素を無駄にたくさん使ってしまわないようにする、そしてここぞというときに使えるようにすることこそ、普段の生活で気を付けるべき点といえるでしょう。

乳がんには様々な治療法があるため、1つの治療法にこだわらず、様々な治療法の中から自分に合ったものを見つけたいですね。

乳がんで漢方とホットフラッシュについて

乳がんの治療を受けることで、ホットフラッシュの症状が出てしまうことも。ホットフラッシュというのは、いきなりカーッと熱くなってきてしまって、ほてりやのぼせが発生する状態のことです。乳がん治療を始めると、ホットフラッシュが出始めたという人が多いです。これは、乳がん治療に使用している抗がん剤が影響するとされています。リュープリンと呼ばれている抗がん剤なのですが、卵巣機能がダメージを受けてしまうため、更年期障害として起こる症状が出るようになります。ホットフラッシュは更年期障害の代表的な症状なので、乳がん治療によって発生しやすくなるでしょう。

乳がん治療を受けながらホットフラッシュとも戦うのはとてもつらいですよね。軽く汗をかく程度であればいいのですが、ホットフラッシュはひどくなると汗が滝のように流れることもあり、周りからの視線も気になります。

ホットフラッシュ対策として効果のある漢方を飲むことによって、少し症状を抑えることができるでしょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

体力があまりなくて痩せている人に最適で、ホットフラッシュだけではなく冷えや肩こりなどを感じやすい人向けです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

体力が比較的ある人向けのものです。ホットフラッシュを抑えるために効果が期待できるでしょう。

女神散(にょしんさん)

乳がんが原因でホットフラッシュに悩んでいる人に対して投与し、実際に効果が見られたという漢方です。

これらの漢方はホットフラッシュに悩んでいると相談すると、医師が処方してくれます。まずは我慢せずに相談してくださいね。

乳がんのホルモン治療と漢方薬について

乳がんによるホルモン治療を受けている場合、漢方薬は飲むことができるのか気になりますよね。漢方は基本的に、ホルモン治療を受けている人の生活の質を少しでも高めるためにと処方されています。そのため、がんの種類よりも、体の状態などを確認して決まります。

ただし、乳がんによっては漢方が適さないことも。女性ホルモンの一種であるエストロゲンによって増殖する可能性があるがんもあるので、その場合は気を付けてください。漢方の中でも女性ホルモンの作用をする生薬は避ける必要があるでしょう。漢方が治療の妨げをしてしまいます。

何も知らずに飲んでしまうことがないようにしたいですね。葛根・高麗人参・当帰・甘草には要注意です。

乳がんのホルモン治療の副作用と漢方薬について

乳がんのホルモン治療を受けると、様々な副作用が現れます。副作用は薬を服用して治療しているならある程度はあるもので、特にがんの治療となると強い薬を使うことで、副作用が発生します。

抗がん剤治療に比べればそれほどひどくないかもしれませんが、それでもつらいですよね。副作用として一番大きいのは、更年期と似た症状が出ることです。倦怠感や気分の落ち込みなどが発生する可能性があります。お話ししたホットフラッシュもそうですね。

こういった副作用を抑えることができるのが、漢方です。乳がんの治療をしているから、副作用は我慢するしかない…という生活ではなく、治療を受けながらも快適に生活ができる…という状態を目指しましょう。

つらい副作用を漢方で緩和することができれば、日常生活も非常に過ごしやすくなります。もちろん乳がんのホルモン療法を邪魔するような漢方の成分は避けなくてはいけませんが、気になる副作用を解消してくれる漢方に挑戦してみてはどうでしょうか。副作用の症状を見ながら、医師も漢方を処方してくれるはずです。

小さな副作用でも見逃してはいけません。ホルモン療法は治療期間も長いため、早めに解消しておきましょう。

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