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温熱療法(ハイパーサミア)

癌の治療法の中で、現在までに健康保険が適応されているのは外科治療と化学療法、放射線治療のいわゆる標準治療が主なものです。しかし、それ以外でも温熱療法(ハイパーサミア)については、健康保険が適応されている数少ない治療法のひとつです。

ハイパーサミアについて、治療の特徴や癌細胞に効く仕組み、治療費用や期間などをまとめてみました。

ハイパーサミアとはどのような治療法なのか

ハイパーサミアは、ラジオ波などの機械を利用して体を温める治療法です。2つの電極の間に体を挟み、ラジオ波という電磁波を流して、プラスとマイナスの電極を急速に変えると、私たちの細胞自体が自己発熱して温まります。

正常な細胞は熱を加えても、血流によってすぐに熱を逃がすことができますが、癌組織の血管は拡張しないので血流を増やすことができず、正常な細胞よりも高温になりやすいそうです。

一般的に、ハイパーサミアの治療時間は準備も合わせて1時間程度。ラジオ波を当てている部分はその間動かさないように注意します。治療箇所が暑く感じたり、チクチクすることもありますが、耐えられないほどの感覚ではありません。治療中に大量に汗をかくので、運動した後のようにストレス発散できると感じる患者さんも多いそう。飲み物を持参してリラックスしながら治療を受けます。

ハイパーサミアが誕生したきっかけである温熱療法について、歴史をご紹介します。

温熱療法の歴史は古く、熱によって“がん”が消滅したと、医学の父であるヒポクラテス(古代ギリシア,紀元前460-370年)は報告しています。ドイツのブッシュは丹毒に冒され高熱を発した患者さんの“がん”が消失したことを1866年に報告しています。また、アメリカのコーリーは、感染すると高熱を出す数種類の細菌をわざとがん患者さんに注射して、高熱によって手遅れの“がん”の治療を行ったと1900年頃に報告しています。1960年代になって科学技術が進歩すると、有効な加温の方法が開発されるとともに、“がん”に対する温熱の効果が基礎研究によって明らかにされ始めました。

出典: 一般社団法人日本ハイパーサミア学会

とのことです。温熱療法には古い歴史があり、長く研究を重ねて誕生した治療法であることがわかりますね。

なぜハイパーサミアが癌細胞に効くのか

癌細胞は一般的に熱に弱いと言われています。それは、癌細胞が特異にできた細胞で常に血流不足となっていて、正常の組織のように血流を増加させることで熱を逃がすことができないため、細胞内に熱がこもってしまうからなのだとか。そんな癌の性質を利用して、体を温めることで癌細胞だけを攻撃しようという方法が、ハイパーサミアです。

実際に温熱療法を利用してどのように誕生したのか、ご紹介します。

じつはヒトの細胞は42.5(43)℃以上に温度が上がると急速に死んでしまうので(図1参照)、体温が41℃以上に上がることはないのです。そこで、温熱療法はこの原理を利用して、“がん”細胞の温度だけを選択的に上昇させて、“がん”を死滅させてしまおうと考案された治療法です。

出典: 一般社団法人日本ハイパーサミア学会

とのことです。画期的ながん治療法といえるのではないでしょうか。

体を温めると、全体的に血流が促進されて体の隅々にまで、薬剤が効果的に届くようになるほか、免疫細胞を活性化させて癌細胞への抵抗力をつける効果もあります。

基本的に、ハイパーサミアは単独で癌の治療に用いられることはなく、化学療法や放射線治療と併用することで効果を高める方法です。

例えば、外科治療ができない場所に腫瘍がある患者さんなどが、化学療法や放射線治療と併用して受けたり、抗がん剤治療の副作用が強い人がハイパーサミアと併用することで投薬量を減らすことができるようになった、などの効果が報告されているそうです。

ハイパーサミアの治療費用や期間について

ハイパーサミアの治療費は、ほかの標準治療と併用する場合なら健康保険が適用となります。深部を加温した場合でも、治療全体にかかる費用は自己負担分が2万円程度と気軽に受けられるのも魅力。週に1~2回の治療を2~3ヶ月ほど続けるのが一般的です。

ハイパーサミアのメリット・デメリット

メリット

体にかかる負担が少ない

がん治療は、体力を使うものです。せっかく治療を行っていても、体力が低下して合併症を引き起こしてしまうことも。ハイパーサミアは原理からもわかるように、体にかかる負担は最小限に抑えられています。マイナス面がほとんどない治療法といえるでしょう。

デメリット

どんながんにも効果が出るわけではない

ハイパーサミアの理論で考えると、どんながんにでも有効な治療法です。しかし、実際は温めやすいがん・温めにくいがんがあります。また、どの病院で治療するかによっても、結果は変わってしまうかもしれません。

保険が適応となる

ラジオ波もしくはマイクロ波を使った加温で、局所加温なら保険が適応となります。保険により費用の負担も軽減され、治療も受けやすいですね。

がんの根治は難しい

残念ながら、今の段階ではハイパーサミアだけでがんの根治はできないと考えられています。そのため、治療は放射線や抗がん剤と組みわせる場合がほとんどです。十分な加温ができる装置を開発するべく研究は行われていますが、化学療法と組み合わせながら適切ながん治療を受けましょう。

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