乳がんのすべてが分かるサイト » 現在用いられている乳癌の代替療法なび » 凍結療法

凍結療法

乳房の切除を行わずに、日帰りで手術が可能な凍結療法について、治療内容や特徴、効果などの情報をまとめて紹介します。

凍結療法とはどのような治療法なのか

凍結療法は、その名の通り腫瘍を凍らせて死滅させる治療法です。乳癌の治療は乳房の切除手術が基本ですが、体力的に厳しい場合や手術を希望しない患者さんなどには、凍結療法が適応されるケースがあります。条件としては、腫瘍の大きさが1センチ未満と小さく、悪性度が高くない場合のみ。凍結療法を行っている医療機関がごく限られているのもネックとなります。

しかしこの治療法は、何よりも体への負担が少ないのが魅力。治療は日帰りの手術のみです。長さ11センチほどのプロープという針のようなものを乳房の腫瘍に刺してガスを注入し、腫瘍をボール状に凍結させて破壊します。切除手術のように切開しないので、体への負担が少なく、乳房の形もほとんど変化しません。治療時間は1時間程度ですし、治療の跡も蚊に刺されたような点が残るだけ。痛みやひきつれなどの後遺症もありません。

なぜ凍結療法が癌細胞に効果的なのか

凍結療法は、腫瘍をピンポイントで急激に凍らせてから溶かすことで、癌細胞を破壊する治療法です。麻酔をして乳房の腫瘍へ直径2.7ミリ、長さ11センチほどの針を刺してアルゴンガスを送り込みます。すると、針の先の温度が-160℃くらいにまで下がり、腫瘍を中心として直径4センチほどのアイスボールができあがるそうです。

癌細胞の中の水分が急激に凍り、次にヘリウムガスを注入して温度を上げることでアイスボールが溶けると、癌細胞の膜が破裂して壊れていきます。この手順を2回繰り返すことで確実に腫瘍を破壊することができるそう。壊れた細胞は老廃物として徐々に排出され、半年くらいで硬さも気にならなくなるそうです。

転移性肝癌に対する治療戦略として肝切除術が確立された手段として認識されている.一方,切除不能癌に対する低侵襲性治療の期待も高まっている.低侵襲で,かつ十分な治療効果が期待できる局所療法の1つとして凍結療法(cryoablation)があげられる.凍結治療は凍結壊死による直接的な腫瘍破壊効果のみならず,免疫誘導により遠隔転移巣が消失したという興味深い研究結果が報告されており,全身療法としても期待可能である.

出典:臨床外科 58巻6号 (2003年6月)『切除不能転移性肝癌に対する凍結療法の試み』

ということからもわかるように、がん細胞に対して凍結療法の効果が期待され始めています。今まで行われてきた治療とは違った視点から、がん細胞について考えることができる治療といえるのではないでしょうか。

そして、治療法として選ばれる理由としては、以下のことが挙げられます。

治療法としては掻爬2,5,6),局所切除5,7,9),掻爬後の自家骨の窩に填入9,10),放射線療法5~7,9,11),凍結療法7,12)がある.放射線療法は外科的摘出が困難な際に使われている5)最近では,凍結療法が再発が少なく予後も良好であるので好まれる9).

出典: (PDF)日本口腔外科学会雑誌Vol.25No.6『右上顎に発症した脈瘤性骨嚢胞の1症例』

とあるように、再発が少なくて予後も良好になりやすい、ということで好まれているのではないでしょうか。

凍結療法がお勧めな人

治療で体に無駄な負担をかけたくない

がん治療は、体に大きな負担がかかってしまいます。手術・薬物療法・放射線治療など、がん以外の健康な体にもダメージがあるため、治療は命がけ。がん治療は体力がある人じゃないと受けられない、ともいわれています。治療を受けて体に余計な負担をかけたくない人は、がん細胞にだけ効果がある凍結療法が向いているのではないでしょうか。

  • 体の一部にしかない
  • 形が良いままで乳房を残したい

がん細胞はしっかりと切除したい、だけど女性として乳房の形が悪くなったり、なくなってしまうのは抵抗がある…と考える人はとても多いです。しかし、凍結療法であればその心配はありません。凍結範囲はがん細胞の部分のみです。

凍結範囲はUS,MRIで特徴的な所見を示した.目的病変は全例で凍結範囲内に位置しており,残存病変は認めなかった.病理組織学的に凍結療法の抗腫瘍効果の検討を行った1症例では,凍結範囲の中心部(腫瘍存在部位)から採取した組織において,ヘモジンデリン沈着を伴う瘢痕様線維性組織を認め,腫瘍細胞は完全に消失していた.

出典:日本臨床外科学会雑誌69(12),3038-3047,2008『微小乳癌に対する非切除超音波ガイド下凍結療法の可能性』

とあるように、凍結する場合は範囲が指定されます。がん細胞だけに働きかけることによって、形が良いままで乳房を残せる可能性も十分あるでしょう。

凍結療法の理論

凍結療法は、切らずに乳がんを治すことができる、手術を行わない治療法です。患部に針を刺してがん細胞を直接凍らせ、死滅させます。乳房の切除は行わないため、痛みやひきつれなどの手術後に悩まされる後遺症がありません。また日帰りで行える手術です。

日本ではもともと、1900年代の初めごろに、血管腫やイボなどの治療に用いたのが最初でした、その後、がん細胞に対する治療にも使われるようになっています。

どうして凍結療法が乳がんにアプローチでき、がん細胞が死滅するのでしょうか。最初にお話ししたように、凍結療法は針を刺して直接がん細胞を凍らせます。針の先端は、マイナス160度ほど。凍結療法ががん細胞に働きかける仕組みは4つあるため、以下でご紹介します。

1つは、凍結させることでガン細胞の中で小さな氷片(アイスクリスタル)が形成され、その氷片によりガン細胞の膜が引き裂かれ死滅するという機序です。 2つ目は、細胞周囲に氷片が形成されることで、凍っていない細胞外液の濃度が高まります。そのあと温度があがることで急な濃度変化が生じます。そして細胞が破壊されます。ガン細胞に対するOsmotic Stress、Chemical Stressといわれている機序です。 3つ目は、凍結することにより、ガン周囲の血管が損傷を受けて血管閉塞による腫瘍壊死が生じることです。 さらに4つ目の機序がいわれています。1などの機序で破壊されたガン細胞の、細胞膜の小片が免疫を活発にする作用があるのではないかということです。このことは研究中の話題です。

出典: 市民のためのがん治療の会

この仕組みによって、凍結療法は乳がんにアプローチしてくれます。

凍結療法の治療費用について

凍結療法は、まだ実験的な治療として位置づけられているので、健康保険が適応されず、治療費用は今のところ全額自己負担で、35万円から40万円程度かかります。

まだ開発されて間もない方法なので、治療データもそれほど集まっていません。治療を行っている医療機関も限られていますし、適応されるケースもごく小さな腫瘍と限られています。そのような事情が納得できるなら、凍結療法を検討してみても良いかもしれませんね。

乳がんの凍結療法のデメリット

乳がんの治療法としてまだあまり知られていない方法ではありますが、これからは利用する人が多くなるであろう方法です。凍結療法をすることにはメリットばかりではなく、当然デメリットもあります。

凍結療法でがんの治療を行う場合、日本では保険適用外となり、自費で治療を受けなくてはいけません。費用の目安は、どこで治療を受けるかにもよりますが、目安は60万円ほどです。

出せない金額ではないけれど、自費でとなると考えてしまう金額ではないでしょうか。どんな場合でも凍結療法は自費での支払いになってしまうので、その金額での治療に納得できるかどうか、しっかりと吟味してから治療を受けましょう。

1cm以上のがんには適用できない

凍結療法は、ごく小さながんにのみ適用となる治療法です。目安となるのは1cm未満ですね。それ以上大きくなっている場合は、違う方法でがんを小さくしてから凍結療法を受けなくてはいけません。また、悪性度が高いがんにも使えないため、小さくて悪性度が低いがんを対象としている治療法です。それ以外の乳がんには適用できない、という点はデメリットになります。

適用できるかどうかは自己判断ができません。実際に医師が確認して、適用できるかどうかを確かめてもらいましょう。また、診断を受けたときに適用できた乳がんであっても、その後変化しているかもしれません。そのあたりも考えて相談してみてください。

自費診療だからお金がかかる

まだこれからという治療法だとお伝えした通り、かかる費用はすべて自費で支払いをしなくてはいけません。保険が適用できる治療の中からしか選択が難しい人にとっては、受けたくても受けられない治療法となってしまいます。

実績がまだ少なく、治療に対して不安を感じる

凍結療法はまだ始まったばかりの治療法です。以前から何度も繰り返し行われている治療法であれば、安全性も確かめたうえで治療を受けることができます。でも、前例が少ないとなると不安ですよね。本当にうまくいくのかな…などと心配しながらの治療になってしまいます。不安要素もゼロではないため、治療に慎重になってしまうでしょう。

代替治療法の検討も視野に入れる

凍結療法をはじめとして、その他にも代替治療法はたくさんあります。手術・薬物治療・放射線治療ががんの基本となる治療法ですが、それ以外の治療法は代替療法と呼ばれ、民間療法に分類されます。

健康食品・サプリメント・マッサージ・運動・心理なども代替療法です。がんは治療後の療養生活も長く、治療自体が難しくなりやすいため、標準的に行われる治療法以外に、代替療法に関心を持つ人も多いです。代替療法を検討する際は、安全性・有効性を知るところから始めましょう。今世の中で行われている代替療法は、研究者や専門家が安全性や有効性について調べてくれています。中には、使うべきではないとされている代替療法も存在するため、代替療法を始める前に知っておきたいですね。

もしも自分では判断できない場合は、主治医や看護師に意見を求めてみてください。患者の体のこと、今の状態、受けている治療なども踏まえたうえで代替療法についての意見をくれるはずです。

がんは長く付き合っていかなくてはいけないことがほとんどです。代替療法の検討も視野に入れて、幅広い治療法の中から自分にとって最適な方法を選べるといいでしょう。

酵素での代替療法とは

がんの代替療法の一つに、酵素があります。酵素は私たちが生きていくうえで欠かせないもので、人間の動きのすべてを司っています。私たちの体内には、一生のうちに使える酵素が決まっており、その量が足りなくなってしまうと、酵素が減って代謝・解毒の機能が弱まってしまう、といわれています。がん細胞は、どれだけ健康な人にも毎日発生しているのはご存知でしょうか?普段は酵素の力が働いて無害化してくれるため、がんに罹ることはありません。しかし、酵素の量が減っていると、がん細胞が増殖しやすくなり、がんに罹ってしまいます。

代替療法では、酵素を増やすことで発がん物質を無害化する働きを高め、発がんを抑えるもしくはがん細胞をやっつける、という考え方で治療が行われます。

がんの代替療法で酵素を検討する人は非常に多いです。

がんの治療法として、どれが自分に合っているかは、「やってみないとわからない」のが事実です。しかし、自分自身で納得した治療法を受けられないとなると、もっとこうしていたら…と後悔する恐れもあります。どんな治療をしたいのか、主治医と相談のうえで決められるといいですね。

乳がんの凍結療法の先進医療とは?

デメリットとして、治療は自費診療になってしまうというお話をしました。それは、乳がんの凍結療法がまだ先進医療と呼ばれるジャンルだからです。一般的な治療法にはなっていない状態ですね。

先進医療としてのすごさは、がん治療なのに日帰りでできるということです。がんを治すとなると、入院を数か月したり、かなりつらい治療が待っていると思いますよね。もちろんそういった治療が主流ですし、つらい治療も覚悟しなくてはいけないがんも実際には多いです。しかし、凍結療法で治療できる乳がんは、悪性度も低いため、それほど身構える必要はありません。凍らせて死滅させるだけでいいので、当日治療してすぐに帰宅も可能。手軽過ぎてがんの治療とは思えないぐらいです。

超音波の画像から確認して針を入れ、針の先端を凍らせるだけ。手術の一つですが、大がかりなことは行いません。局所麻酔なので、意識もはっきりとしています。まさに革命的な先進医療といえますね。

乳がんの凍結療法を病院で受けるには?

乳がんの凍結療法を受けたいと思ったら、実施している病院に出向かなくてはいけません。最初に乳がんの凍結療法を始めたのは、千葉県鴨川市にある亀田総合病院です。始めたというだけあって、多くの症例もあるので、治療には向いているでしょう。実はそれ以外にも、最近は乳がんの凍結療法を受けることができる病院が増えてきており、近くの病院で可能かどうか探してみてください。

ただし、最近始まった治療法であることから、まだまだ治療が可能となっている病院は少ないです、しかし、これから凍結療法ができる医師が増加していけば、その分多くの病院で受けられる治療になるはずです。

ただし、凍結療法の費用に関してはどこでも基本的に保険が適用外となってしまいます。すべて負担しなくてはいけないので、数十万円は覚悟しておきましょう。費用の相談も治療の前にしておけるといいですね。

pagetop ▲