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そもそも乳癌とは

癌は人間の体のあらゆる場所に発生する悪性の腫瘍で、健康な人でも日々何千個もの癌細胞が発生していると言われています。その中で、女性の乳房に発生する乳癌とは、どのような種類や特徴があるのか、基本的な情報をまとめてみましょう。

乳癌はどこに発生するのか

女性の乳房は主に、母乳を作るための乳腺と脂肪組織で成り立っています。さらに乳腺は、母乳を作り出す小葉という部分と、母乳を乳頭へと運ぶ乳管でできており、乳癌はこの小葉と乳管の部分に発生する悪性腫瘍のことを言います。

乳腺は、女性が妊娠や出産、母乳の分泌を正常に行うために、女性ホルモンの影響を大きく受けるとされていて、このことが悪性腫瘍の発生や増殖に関係が深いのではないかと言われています。

また、高カロリーな食生活を好み、肥満体質の人も乳癌の発生に関係があると言われています。これは、脂肪組織で女性ホルモンに影響を与えるエストロゲンが作り出されているからです。もともとは欧米に乳癌が多く、特には、欧米では閉経後の女性の乳癌率が高いとされていました。

日本では若者の食生活の欧米化により、若い人の乳癌率が高い傾向にありましたが、近年は、女性の社会進出などのライフスタイルや、50代~60代女性の食生活の欧米化も加わり、欧米と同じく閉経後の女性の乳癌率が増えています。

乳癌はなぜ発生し、増殖するのか

例えば、乳腺の上皮細胞の遺伝子に何らかの変異が起き、癌細胞が発生したと仮定しましょう。そのような突然変異はよく起こることで、癌細胞は健康な人でも毎日数千個も発生しているそうですから、それほど珍しいことではありません。健康な人であれば、癌細胞を異物として認知し、体が本来持つ免疫機能によって排除してしまうそうです。

しかし、ここにエストロゲンという女性ホルモンが作用すると様子が変わってきます。エストロゲンは、正常に妊娠や出産が行えるよう、女性の身体を女性らしく作り上げる働きを持つホルモンで、思春期や妊娠前の女性の身体で多く分泌されるものです。子供を産み育てるための準備をするホルモンですから、乳腺の細胞にも多大な影響を与えることはもちろん、乳腺に発生した癌細胞の増殖も促してしまうことになるわけです。

初潮が早く閉経が遅い人や、高齢出産の人、出産経験のない人などエストロゲンの影響を多く受けた乳腺の細胞は、癌細胞が発生して定着するリスクが高まると言われています。突然変異で発生した乳腺の癌細胞が、エストロゲンの作用によって増殖し定着してしまったものが乳癌と呼ばれ、しこりを作るほどに大きく成長してしまうのです。

乳癌が発生するリスク要因

乳癌が発生するリスク要因は、閉経前と閉経後の趣味嗜好、身長や体重、ライフスタイルサイクル、など複数あります。

閉経前の状態で、乳癌発症リスクを増加させてしまう嗜好品は、アルコールとタバコです。こちらは乳癌だけでなく、全ての癌の発症リスクを高めるとも言われています。成人期に高身長、出生児の体重が重いこと、初経年齢が早いことなどもリスクが高い傾向にあります。ライフスタイルは、仕事の勤務時間に関係すると言われており、夜間勤務を行う人は可能性が高い傾向です。

閉経後の状態で、乳癌発症リスクを増加させてしまう嗜好品は、閉経前と同じくアルコールとタバコ、そして肥満の原因となる高コレステロールの食品です。体型は肥満の人、成人期に高身長、出生児の体重が重いこと、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い人などがリスクが高い傾向にあると言われています。閉経前と同様に、夜間勤務を行う人は癌の発生率が高い傾向です。

また、血のつながった家族や親戚に乳癌患者がいる場合も、リスクが高いと言われています。遺伝性の乳癌(乳癌にかかりやすい遺伝子が親から子供へ引き継がれること)は5%~10%と言われています。

乳癌が進行するとどうなるのか

初めは乳線の小葉や乳管にあった癌細胞は、どんどん増えて他の組織へと溢れ出していきます。乳腺の外の脂肪組織や血管、リンパ節などへ広がっていくのです。リンパ管や血管へ乳癌細胞が入り込んだ場合は、リンパや血液の流れに乗って乳房から離れた場所へも癌細胞が到達してしまいます。肝臓や肺、脳などへも乳癌細胞が定着し、あちらこちらで正常な組織を破壊してしまうそうです。この状態を「遠隔転移」と言います。

乳癌細胞は、小さな乳腺組織に発生するためこぼれ落ちやすく、早い段階から他の組織へ転移しやすいのが特徴。乳癌の恐ろしさは、比較的早期から周辺や遠隔組織へ転移を起こしやすいことにあるのです。

乳がんのできやすい部位

乳がんを早期発見する際に重要になってくるのがセルフチェックです。もちろん、病院で定期的な検査を受けることは欠かせませんが、セルフチェックを行うことにより、定期検査の間に発生する乳がんにも気づけるようになります。

そこで気になるのが、乳がんのできやすい部位に関すること。セルフチェックする際にはそのポイントをしっかり確認しておきましょう。

いくつかあるのですが、まず、乳房を十字に4等分した際のワキ側にあたる外側上部にあたる部分に乳がんができる可能性が、全体の半数近くとなっています。反対に最も確率が低いのは内側下部です。

特に乳がんができやすいポイントを念入りにチェックしたいと思ってる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。確かに外側上部は最も乳がんができやすいポイントではあります。しかし胸全体を通してどの部位でも発生する可能性はあるため、とにかく外側上部だけをチェックしておけば安心…というわけではありません。

セルフチェックをする際には外側上部を念入りに調べることは重要ですが、必ず乳房全体を調べるようにしましょう。

早期乳がんとは

定期検診で早期に乳がんが発見された場合、「早期乳がん」と呼ばれる段階になります。早期とは、まだがんの大きさが2㎝以内の状態であり、さらに他の臓器や組織に転移がないものを呼びます。この段階で治療を開始することが非常に大切になるでしょう。

乳がんが進行すると、徐々にがん細胞が増殖してしまいます。乳腺に発生する悪性腫瘍を乳がんというのですが、進行すると乳腺以外にもがん細胞が広がります。さらには血管やリンパ管へ入って全身をめぐってしまうのです。

早期乳がん発見の重要性

乳がんを早期の段階で発見できれば、90%の方は治るとまでいわれています。反対に発見が遅くなればなるほど、生命の危険も大きくなってしまうのです。

乳がんを発見するのに大切なのが、定期検査とセルフチェックです。しこり以外にもさまざまな症状があります。例えば、乳房の皮膚に腫れや発疹などの異常が現れたり、乳頭部分から分泌物が出る、湿疹やただれがあるなどの症状が代表的です。

他にも、乳房にひきつった部分があった、くぼみがある場合も乳がんの初期症状の可能性があります。

病気の中には体調不良を伴うものもありますが、初期の乳がんはほとんどそういったことがないため発見が遅れがちです。しこりのセルフチェックの他にも、こういったポイントに注目しながら早期発見に役立ててみましょう。

セルフチェックで早期発見はできる?

乳がんを気にしてセルフチェックを行っている方も多いはず。しかし、セルフチェックでしこりを感じられるようになるのは、しこりが2㎝以上大きくなってからといわれています。

ここで重要になってくるのが、定期検査を行うということ。例えば、数ヶ月に一度しかセルフチェックを行わない方の場合、どうしても小さな変化を見逃しやすくなってしまいます。

しかし、定期検査を行っていれば少し異常があった時にも「これは前回はなかったような…」と気づきやすくなるのです。それに加えて、定期的にセルフチェックを行っていれば、1㎝以上大きくなった際にすぐに気づけるようになるでしょう。

めったにセルフチェックを行わない方は、しこりが2㎝以上にならなければ気づけないようです。1㎝と2㎝では倍の違いがあるので、この差はかなり大きいですよね。

もしも、しこりを発見した場合、確実に乳がんだと自信がなくても病院を受診して検査してもらいましょう。乳がんでないと診断されれば一番ですが、仮に乳がんだった場合も早期発見、早期治療につなげられるはずです。

乳癌の詳しい症状

自分で確認し、以下の症状がある場合は乳癌を疑いましょう。

  • しこりがある(乳房の内側、脇の下側)
  • 乳首から血液混じりの分泌がある
  • 乳首がただれている
  • 乳房の皮膚にひき連れがある
  • 乳房がいびつに変形している
  • 乳首に陥没などがある
必ずしも、しこりや変形などが乳癌の症状とは断定することはできませんが、疑いを持つことで早期発見につながるため、自身で触り、変化がないかのセルフチェックを行うことは非常に重要です。また、塊が大きくなる症状ではなく、周りに細かく散らばる形で広がっている場合には、上記のような症状は出ずわかりにくい傾向にあるため、定期的な検査が必要です。

乳癌の検診について

1987年に、乳癌検診が日本で行われるようになり、当時は触診のみの検査でした。一方で、欧米ではマンモグラフィと触診の2種類で検診が行われており、患者への早期発見を早くから促していました。日本では、マンモグラフィでの検査を受けた人と、触診検査を受けた人との死亡率が同じである、という結果が出たことが理由で2種類での検査が長らく行われませんでした。

しかし、触診だけでは初期段階の小さなしこりや、しこりとして触れることのできない0段階の乳癌を発見するのは非常に難しいということがわかり、これらを補うためにマンモグラフィが重要とされました。石灰化された状態で見つかる非浸潤がんは、マンモグラフィで発見できれば100%治癒することができるとも言われています。

日本では2000年から「50歳以上の女性に対し、2年に1回のマンモグラフィと視触診による検診を行う」という規定が出たことにより、触診とマンモグラフィの両方での検診が開始されました。2004年には、40~49歳の女性を対象としたマンモグラフィも導入されています。

30歳台以下の女性については、検診の規定はなく、また未だ触診やマンモグラフィ検診により乳癌死を減少させるというデータはありません。しかし早期発見により救える命があることは確実なので、自己触診、そして定期的な検診を行いましょう。

乳癌の検査方法

各病院での設備は異なりますが、一般的な乳癌検査は以下です。複数の検査を併用して行うこともできます。詳しくは、各病院へ検査内容を確認してください。
  • マンモグラフィ
  • 乳房超音波(エコー)
  • 穿刺吸引細胞診、分泌物細胞診
  • 組織診
  • 外科的摘出生検
  • 乳管内視鏡
  • 造影MRI

参考:公益財団法人 がん研究会有明病院

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