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免疫力とは何か

乳癌の治療法について調べていると『免疫力アップ』や『免疫機能の改善』といった言葉をよく目にしませんか?

癌と闘う私たちにとって、免疫力は最大の武器。人間が本来持っているとされる免疫力や免疫機能は、病気からの回復や罹患を防止する観点から、とても重要だと考えられています。私たちの体を健康に保つために、免疫機能がどのような役割を果たしているのか解説していきましょう。

私たちは免疫システムで守られている

普段私たちは、様々な細菌やウイルス、微生物、化学物質などと接触しながら生きています。ウイルスなどが体内に侵入してきた場合、感染が広がるのを食い止めるため、侵入者を攻撃して破壊し、体外へと排除しなければなりません。そんなとき、外敵の侵入から体を守る重要な役割を果たしているのが、免疫システムです。

免疫機能は、マクロファージやナチュラルキラー細胞、キラーT細胞など、全身を巡回している数種類の免疫細胞(いわゆる白血球)と、リンパ系の器官によって成り立っています。体内へ侵入してきた外敵は、免疫細胞が発見して捕食や破壊を行い、リンパ液と一緒にリンパ管へと流されます。リンパ管はリンパ節につながっていて、そこで待ち受けている免疫細胞によって確実に破壊されるわけです。

日本人は現在免疫力が低下していると言われています。アトピーや喘息、アレルギーなどで苦しむ子どもが増えてきているのも、免疫力が低下してきていることが原因であるとされています。

さらに免疫力が低下した時の病気としてこころの病やがんが挙げられます。

日本人の3人に1人ががんで亡くなっており、がんによる生死も免疫力が関係しているとされています。

免疫系というとインフルエンザに代表される感染症などが着目されることが多いのですが、がんも免疫力が深く関係している疾患の1つとされています。

実は免疫のうち、約70%が腸内細菌が作り出して、残りの約30%はこころが作っていると言われています。また、腸内細菌の働きもこころが強く影響していると言われています。

つまり、こころと体の免疫現象は腸内細菌が深くかかわっていることが考えられるのです。

そこでまずは、こころとからだが免疫系とどのような関係性を持っているのか見ていきます。

参考:こころとからだの免疫学(添付資料)

こころとからだと免疫系の関係性

細菌の研究では、腸内細菌叢が神経伝達物質の分泌量を決めて人間の精神活動に影響を及ぼしていることが分かりました。

マウスを用い、腸内細菌叢(さいきんそう)が正常なマウスと無菌のマウス両方にストレスを掛け、免疫系の状態を調べてみた実験があります。血圧や血糖の低下、免疫力の低下をもたらすACTHやコルチステロン量が無菌のマウスの方が腸内細菌叢が正常であるマウスよりも分泌量がはるかに増加したとの結果が得られました。

つまりこの結果から、腸内細菌叢は免疫力を低下させてしまう物質の分泌量を抑えて生体を防御してくれていたということが分かりました。

このことから腸内細菌叢を正常に保つことはストレスを減少させ、免疫力の低下を防いでくれるということが分かったのです。

また、腸内細菌叢はストレスによって乱れるとされています。その理由はストレスを感じると消化管にカテコラミンという交感神経を緊張させて身体を戦闘モードにする物質が放出されるからです。これによって大腸内の腸内細菌叢が乱れてしまうのです。

したがってストレスと免疫力は腸内細菌を通じて深いかかわりがあるということとなるのです。

参考:こころとからだの免疫学(添付資料)

癌細胞は異物として認識されて免疫細胞に攻撃される

免疫システムは、攻撃の標的となる外敵をどのようにして見分けるのでしょう。

免疫細胞が敵である異物を攻撃するときには、間違って自分自身の正常な細胞を傷つけないよう、“自己”か“非自己”かという基準で判断しているそうです。すべての細胞は特有の目印のような分子を表面に持っており、免疫細胞は自分の体の細胞とは違う目印を持っている細胞を異物として認識し、破壊するようインプットされているわけです。

免疫系には自然免疫と獲得免疫があります。

自然免疫とは異物に対して直接攻撃を加える免疫系のことを指し、NK細胞やマクロファージ、好中球が働きます。

この自然免疫系が異物に対して攻撃をすることを貪食作用といいます。

一方、獲得免疫とは白血球の中でもT細胞、B細胞と呼ばれる細胞が重要な働きをしています。B細胞は、異物に対して個別に働く抗体をつくりだすことによって、異物を無害化したり貪食作用が働きやすいように異物に対して働きます。一方でT細胞は、サイトカインと呼ばれる物質をつくりだすことで、B細胞に抗体をつくるように促したり、他のT細胞によって異物の排除をしやすくしたりといわば司令塔のような役割をします。がんの治療と免疫系の関係においては、特にT細胞が中心的な役割を担っているといっても過言ではありません。ちなみにこのサイトカインや抗体は、免疫関連物質と呼ばれています。

この獲得免疫が攻撃の自己と非自己を区別する目印となるものを抗原と言います。

免疫系は抗原が出現するとそれを排除しようと行動し始めますが、この時に中心となって活躍するのがリンパ球です。

なぜ、リンパ球が活躍するのかというと、リンパ球の表面には非自己の抗原ととぴったりと重なることができる抗原レセプター、いわば「鍵穴」のようなものを持っているからです。

リンパ球が非自己の抗原とぴったりと重なることで、他の免疫系が攻撃を開始することができるようになるのです。

参考:国立がん研究センターがん情報サービス
   中外医学社 免疫系とは

ちなみに癌細胞は体内で発生しているものですが、正常な細胞とは別の目印を持っているので異物とみなされて攻撃の対象となります。

乳癌に対する免疫システムの働き

健康な人であっても、1日に数千個の癌細胞が身体のあちこちで発生していると言われています。それらの癌細胞が目に見えるほどの腫瘍へ成長せず、健康に暮らすことができるのは、微細な細胞として発生した癌細胞を、免疫機能がしっかりと抑えているからです。

例えば、乳房の乳腺や乳管に癌細胞が発生した場合、まずは体を巡回していた免疫細胞が乳癌の細胞を発見して攻撃、破壊します。破壊された死がいや、取り逃してしまった癌細胞は、リンパ液と一緒にリンパ管に入りリンパ節へと運ばれ、待ち受けているたくさんの免疫細胞の攻撃を受けて死滅します。

しかし、ここでもし、加齢やストレス、体調不良などの理由で免疫力が低下していたら。乳房で発生した癌細胞も、リンパ節へ流れてきた癌細胞も破壊することができず、どんどん増殖させてしまいます。免疫機能が癌細胞に対抗できないくらい弱っていると、致命的な事態を招きかねないのです。

癌細胞は“発生するか否か”という点が問題なのではなく、“免疫機能によって抑制できるか否か”が重要なのです。

ただ、抗がん剤治療や放射線治療を続けることで、体の免疫力は弱まっていきます

そのため現在ではこの弱ってしまった免疫細胞を取り出して活性化・増殖させて再び身体の中に戻すという免疫療法という治療法もあります。

また、免疫細胞を活性化させる物質を投与することによって免疫細胞を活性化させるという治療方法もあります。

もちろん、乳がんにもこの治療法は効果があるとされており、放射線治療や抗がん剤治療と併用することによって高い効果が期待されています。

しかし、当然ながらこの治療を受けるためには費用も掛かりますし、できる病院も限られてきてしまいます。

また、免疫細胞を活性化させる物質を登用させる治療法は国からの認可が下りていない物質もあり、安全性にやや問題がある部分もあります。

これらの事情によって免疫療法は万人が受けられる治療とも限りません。

そのため、自己にて免疫力を上げていくことでこの治療と同様の効果を実感することができ、乳がん治療の補助的役割を果たすことが十分可能となるのです。

乳がんの治療の補助、あるいは乳がんを抑制する手段の1つとして免疫力に着目してみるのはいかがでしょうか。

参考:複合免疫療法について
   国立がん研究センターがん情報サービス

免疫力を高めるために、サプリメントや健康食品を取り入れる、生活習慣を整えるといった心がけが必要です。

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