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免疫力を弱める原因

癌や様々な感染症を招き、時には致命的な事態へつながることもある、免疫力の低下。どのような原因で起こるのか知っていますか? 免疫機能が落ちてしまう理由をいくつか探ってみましょう。

加齢によって免疫力が徐々に低下する

免疫力が低下してしまう第一の原因は老化です。

元々、人間の免疫機能は年齢を重ねるごとに変化しやすいもの。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは免疫機能がしっかりと出来上がっていないので、お母さんから受け取った免疫で体を守ります。徐々に自力で免疫機能を獲得していき、様々な病原菌やウイルスの侵入を経験することで抗体を獲得し、異物に対する認識力を高めて行くわけです。

しかし、加齢によって免疫機能が熟練されるとともに、衰弱してしまうという恐ろしさもあります。自分の細胞と異物とをしっかり認識できなくなることで、自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどがその例です。ほかにも、マクロファージが異物を捕食するスピードが落ち、それによって癌細胞が増えてしまうのではないか、とも言われています。

また、粘膜免疫はある一定の年齢を過ぎると徐々に低下してくるとされています。
とある研究で健康な高齢者のIgA(免疫グロブリンA)の分泌を調べたところ、20~30歳代の半分以下の人しか分泌されていないという結果が出ました。
加齢は、自己の細胞と異物が認識できなくなるだけでなく、もともとの免疫力が低下してしまうため、がん細胞が増えやすくなってしまうと考えられます。

参考:大塚製薬株式会社 免疫力低下の理由

生活習慣の悪化によって免疫力が低下する

脂質や糖分、塩分などが多い食事や多量の飲酒、喫煙、ストレスの多い生活を送っている方は、免疫力が低下しやすい傾向にあるそうです。睡眠不足なども、お肌のコンディションだけでなく免疫機能の点から言っても悪影響となります。

これらの悪習慣は、生活習慣病にかかってしまうリスクを高めるとともに、免疫機能の低下も誘因してしまいます。

生活習慣と一言で言っても、さまざまなものがあります。
まず1つ目は睡眠です。睡眠時間と免疫力の唾液中関係を見た研究では、睡眠が6時間以下、さらに時間が短ければ短いほど免疫系の分泌量が低下してしまうという結果が出ました。
また、睡眠は時間だけでなく質も重要であり睡眠の質が良い人ほど、風邪をひく確率が下がる、すなわち免疫力があるというような結果も出ています。
さらに免疫細胞の一種であるT細胞が病原体など抗原の情報を長期間記憶するためには、睡眠が必要だという研究報告もあり、睡眠は免疫力とかなり密接な関係があることが伺えます。
特に睡眠時間は乳がんと密接な関係があるとされています。
睡眠中にはメラトニンという女性ホルモンを抑制するホルモンが分泌されます。睡眠時間が長ければ長いほどこのホルモンの分泌時間が長くなり乳がんのリスクを回避する働きをします。
そのため、睡眠時間が短いとこのホルモンの分泌時間が短くなり乳がんのリスクが高まります。特に6時間以下の睡眠時間の方に危険性が増したという結果もあり睡眠時間が免疫力よび乳がんのリスク回避に重要であることが分かります。
次に食生活です。野菜や果物、豆、全粒穀物などの食品を多く摂っていると、がんなどになりにくいという報告があります。また、タンパク質は免疫抗体の材料となると言われており、さまざまな食材をバランスよく摂取することが重要視されています。
最後にストレスです。ストレスがかかる理由はさまざまあります。仕事や学業、試験や人間関係などもストレスとなりますし、体調不良や日々の生活でたまるささいなストレスが蓄積することもストレスとなります。人は持続的な強いストレスを受けると、脳からストレスに反応してステロイドホルモンや神経伝達物質が分泌され、白血球中のリンパ球や細胞の働きを低下させます。これによってストレスが免疫力を低下させてしまうのです。
また、冬の時期には冷えもストレスとなるのです。特に冷えは血管が収縮して血流が悪くなり、栄養や免疫細胞が運ばれにくくなります。
生活習慣の乱れは免疫力の低下と大きく関係があるのです。

参考:
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻社会医学講座公衆衛生分野  睡眠時間と乳がん罹患リスク:大崎国保コホート研究(2008年発表)
独立行政法人労働者健康安全機構神奈川産業保健総合支援興センター ストレスと免疫力(2018/1/11 添付資料)

乳癌治療によっても免疫力は低下する

乳癌の標準治療を行うことによって、免疫機能が落ちてしまうことがあります。特に、抗がん剤による化学療法は極端に免疫力を低下させてしまうことが問題となります。

抗がん剤は、細胞分裂を繰り返したり新しい細胞を次々と作り出して増殖を続ける癌細胞のDNAに作用する薬剤。細胞分裂が活発な細胞のDNAを変化させて、増殖を抑える効果があるそうです。

抗がん剤は、癌細胞だけに作用するわけではなく、細胞の増殖が活発な細胞のDNAに働きかけるものですので、当然ですが癌細胞以外の正常な細胞にも作用してしまいます。身体の細胞の中で、特に活発に増殖を繰り返しているのは、髪の毛や免疫細胞である白血球口腔粘膜や胃腸粘膜。抗がん剤が癌細胞を攻撃するとともに、髪の毛や白血球も攻撃してしまうので、髪の毛は抜け落ち、免疫力が低下してしまうわけです。

一般的に白血球は抗がん剤の治療を受けてから7~14日目に低下してくると言われています。そのため、抗がん剤治療を受けてから7~14日後には免疫力も低下してしまうのです。

参考:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報センターがん対策情報センター化学療法全般について(2015年作成)

乳癌治療の効果を上げるためにも、再発・転移のリスクを軽減するためにも、弱まった免疫力を高めていくことは重要です。

免疫力を高める方法は様々ですが、治療中~直後は集中的に行う必要があるため、サプリメントや健康食品を取り入れるというのも1つの手。ただし、担当医への相談は欠かさないようにしてくださいね。

がんによって免疫力が低下する

実はがんが原因となって免疫力が低下することがあるのです。
がんの初期の頃はがんそのものが免疫力を低下させるわけではなく、免疫力が低下した隙を見てがん細胞が増殖をします。
しかし、中期以降のがんになるとがん細胞そのものが身体の免疫力を無効化する免疫抑制細胞をがん細胞の周りに増やしてしまいます。これによって元々身体がもっている免疫力が無効化されてがん細胞を攻撃することができなくなり、がん細胞がどんどん増殖してしまうのです。
また、がんになると免疫抑制細胞が増殖してもともとの免疫力が無力化されてしまうため簡単に免疫力を上げていくことが難しいともいわれています。

参考:ライフライン21がんの先進医療 株式会社蕗書房(2009年作成)

免疫力の高め方

免疫力の低下を感じている場合、早めに対策をとってみましょう。免疫力を上げるためには次のような方法があります。

体温を上げる

体温が低くなると免疫力は大幅に下がります。これは体が冷えると血管が収縮して血行が悪くなり、異物から体を守る働きを持った白血球がうまく運ばれなくなるためです。

低体温の状態が改善されれば白血球がしっかり運ばれるようになるため、病気や体の不調を引き起こす異物と戦う準備が整います。そのため、体温を上げることはとても簡単でありながら非常に効果的な方法だといえるのです。

では、体温を上げるにはどうすればよいのか?というと、まずは体を温める食べ物を取り入れる方法があります。根菜類、羊肉や鶏肉などの肉類には体を温める働きがあります。特に効果的なのが生姜なので積極的に取り入れてみてくださいね。

また、GABAを多く含む食べ物はストレスによる体温低下を防いでくれる働きもしてくれます。玄米、カボチャ、じゃがいも、トマトに多く含まれるので積極的に食べてみてもいいかもしれません。

反対に体を冷やす働きを持った蕎麦や小麦などの穀類、カニやカキなどの魚介類、馬肉などは避けておいた方がよいです。いつも飲み物には氷をたくさん入れて飲むという方も、それが原因で体が冷えてしまい、免疫力が下がる結果になるかもしれないので注意しておきましょう。

他に簡単な方法として、こまめに白湯を飲む方法も挙げられます。面倒なことは長続きしない方でも、白湯を飲むくらいなら継続できるのではないでしょうか。

毎日は難しいかもしれませんが、半身浴を行うのも効果的です。半身浴は体の芯から温められるので、冷え性に悩んでいる方にも向いているでしょう。

1日1回、10分程度湯船につかることで体温を1度上げることができるとされています。

参考:沢井製薬 体温を上げて免疫力アップ(2009年9月)

毎日シャワーのみで済ませてしまう方もいるかもしれませんが、免疫力が落ちていると感じている方は、ゆっくり湯船につかってリラックスする習慣を作ってみてくださいね。

さらに、物理的な方法で身体を温めることも効果的です。
リンパ球減少症の男女に睡眠中や日中、湯たんぽなどで胴体や四肢を温めてもらったところ、リンパ球が大幅に増加し、免疫力がアップしたという研究データもあります。
腹巻やカイロ、湯たんぽなどで積極的に身体を温めてみても良いでしょう。

参考:
沢井製薬 体温を上げて免疫力アップ(2009年9月)
大塚製薬株式会社 免疫力UPの方法(2018/1/11)

運動も効果的

体温が下がる大きな原因として挙げられるのが筋肉不足です。筋肉は熱を生産するのに欠かせない働きを持っており、不足すると体力だけでなく体温も落ちます。

加齢などによる筋肉の減少率は1年間で1%と言われています。
しかし、1日寝たきりで過ごしてしまうと1日で0.5%もの筋肉が減少してしまいます。

参考:沢井製薬 体温を上げて免疫力アップ(2009年9月)

筋肉をつけるためには、ウォーキングなどの有酸素運動ではなく、筋トレなどの無酸素運動のほうが適しているのでぜひ実践してみてくださいね。

1日30分歩くということを毎日続けていると3か月後には効果が見られるでしょう。
続けて30分歩くということが難しければ15分を2回、10分を3回など小分けにして行っても同様の効果が得られるそうです。

参考:沢井製薬 体温を上げて免疫力アップ(2009年9月)

ただ有酸素運動も、継続して長時間行える運動なので、血行を良くする働きがあります。運動不足は血行不良を招いてしまうので、通勤する際に1駅分歩いてみたり、買い物に出かける際には車ではなく自転車や徒歩を選択するなどの対策をとってみましょう。

気をつけなければならないのが、免疫力を高めるためといって激しい運動をするのはNGです。というのも、唾液の中には分泌型免疫グロブリンAと呼ばれる免疫物質が含まれており、体を守る役割を持っているのですが、激しい運動を行うとこの免疫物質が少なくなってしまいます。

適度な運動であればよいのですが、過剰な運動を行うと免疫力を下げる結果になるので気をつけておきましょう。運動する時間が取れない方は家の中でストレッチを行ったり、ラジオ体操を実践するだけでも免疫力を高める効果が期待できます。

睡眠不足を解消する

免疫力の高め方として非常に重要になってくるのが睡眠習慣です。毎日睡眠不足の状態にある場合、自律神経が乱れてしまい免疫力が低下することがあります。

人によって最適な睡眠時間は違うものの、7~8時間程度はしっかり睡眠をとるように心がけましょう。

睡眠不足の解消だけでなく、免疫力を高めるためにも健康的な生活を目指すことが大切になります。規則正しい食生活を送り、適度な運動を心がけましょう。

笑顔を心掛ける

笑顔を心掛ける、すなわち「笑う」という行為も免疫力を上げることに繋がります。
とある研究では、コメディアンによるユーモラスな映像を見た後で、免疫力を測定したところ免疫力がアップしたという結果が出ています。
また、ワハハと笑うだけで50億個のナチュラルキラー細胞が元気になるともいわれています。
作り笑いでも免疫力が上がるということが報告されているので、意識的に笑顔を作ってみるというのも良いのかもしれません。

参考:
大塚製薬株式会社 免疫力UPの方法(2018/1/11)
独立行政法人労働者健康安全機構神奈川産業保健総合支援興センター ストレスと免疫力(2018/1/11 添付資料)

このように、免疫力の高め方にはさまざまな選択肢があります。大切なのは、続けやすい方法を選ぶこと。1日や2日実践しただけではほとんど変化は感じられません。無理なく継続できるものだけでも実践してみましょう。

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