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乳がん診断後の妊娠・出産と再発の可能性

「果たして乳がんを治療した後に妊娠・出産は可能なのだろうか」と、不安に思う乳がん患者・乳がんサバイバーは少なくありません。現在、女性ホルモンのひとつであるエストロゲン感受性が陽性の乳がん患者の妊娠と出産に対する大規模な研究が行われ、注目を集めています。本ページでは、これまでの研究で判明したこととして、乳がん治療補の妊娠・出産と再発の可能性などのトピックを解説します。妊娠・出産を希望する乳がん治療中の方や乳がんサバイバーの方はぜひご一読ください。

乳がん診断後の妊娠・出産と再発の可能性

これまで乳がんを治療した後に妊娠・出産がどこまで可能なのかについては、これまで大規模な調査が行われておらず、よく分かっていませんでした。特に女性ホルモンのひとつ、エストロゲンに感受性のあるタイプの乳がん(エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん)については、この手の研究・調査はほとんどなかったのです。

この問題について、大規模な追跡調査が海外で進みつつあります。この研究・調査の結果がいくつか発表され、乳がん診断後の妊娠・出産についての傾向が分かりつつあるため、その内容を分かりやすくまとめました。順番に見ていきましょう。

乳がん診断後の妊娠・出産は可能だが確率は高くない

追跡調査の結果わかったことは、乳がん診断後に妊娠・出産を経験している乳がん患者は、は調査対象の50歳以下の乳がん患者1,207人中333人、約27.6%いたことえす。若い女性患者の半数は、治療後の妊娠・出産について関心を寄せますが、実態は妊娠・出産を希望する人全員が妊娠できているわけではありません。

しかし、逆に言えば長いホルモン療法をいったん中断して妊娠・出産をしている女性もこれだけいるということで、これまで乳がん診断後の妊娠・出産をあきらめていた方にとっては希望の持てる結果です。

妊娠・出産は乳がんの再発可能性に影響しない

また、この追跡調査によると、妊娠・出産を経験した乳がん患者と妊娠しなかった乳がん患者との間を比較したところ、乳がんの再発に関しては両者ともに差異はありませんでした。また、妊娠したER陽性乳がん患者は、妊娠しなかったER陰性乳がん患者よりも死亡率が47%も低かったという結果も出ています。

妊娠・出産は乳がんの再発リスク高めるのではないかと懸念する患者にとって、この情報は妊娠や出産に対して前向きになれる情報だと言えるでしょう。また具体的な作用機序は分かっていませんが、妊娠・出産でむしろ死亡率が低くなっている点は、注目に値する結果です。

乳がん診断後どれぐらいの間を置くべきかなどの研究はこれから

この研究では、乳がん診断後どれぐらいの間を置いて妊娠・出産に踏み切ればいいのか、ということについては、まだはっきりとした答えが出ていません。今回妊娠した乳がん患者は、乳がんと診断されてから受胎までの期間の中打ちが2.4年です。ER陽性乳がん患者は、診断から5年以降に妊娠する人が23%いますが、ER陰性乳がん患者は7%に留まっています。

恐らく、ER陽性乳がん患者は、内分泌療法を5年ないし10年受け続けなければいけないことが関係しているのかもしれません。年齢的な問題もあって、途中で内分泌療法を中断して妊娠するにしても、いつ頃から妊活ができるのかについては、これからの研究が待たれるところです。

参考:ASCO UNIVERSITYSafety of pregnancy in patients (pts) with history of estrogen receptor positive (ER+) breast cancer (BC): Long-term follow-up analysis from a multicenter study.

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